この記事は企業の決算書にのっている「のれん」についてです。
投資したい会社のことを調べてみてると、決算情報のなかに「のれん」という言葉を見かけることがあると思います。
「のれんってなんやねん」と初見で思うのが普通。
とても金融や経済を語るフレーズに思えません。
「のれん」は会社を買収したときに発生します。
買収される会社の資産額にたいして、買収する会社が支払う金額が大きいor小さいときの差額が「のれん代」と言われます。
会計のお勉強やお仕事をしている人にとっては、ごく普通に使う言葉なのかも?
私は会計に関わる機会がこれまでありませんでした。
「のれん?お店のまえにかかってるやつ?」
これが「のれん」を見た最初の私の感想。
意味を頭で理解したつもりになっても、買収に差額がでることにモヤっとしていました。
いまいちわかりにくいなーっと思いつつ、自分でかみ砕いてみたのが今回の記事です。
投資してみると気になることが見つかって、調べて勉強してみてというサイクルができます。
じぶんの興味の中でやってることなので、けっこう楽しくやれてます。
「のれん」とは
「のれん」とは会社が他会社を買収した額と買収された会社の純資産の差額です。
たとえば10億円の会社を100億円で買収すると90億円の差額がありますよね。
差額の90億円が「のれん」になります。
等価ではない買収金額が不思議にみえるかもしれませんが、珍しいはなしではありません。
差額には買収された会社の金額以外の価値が含まれています。
- 技術力
- 将来性
- ブランド力
どれも目には見えにくいところですよね。とくにさきのはなしとなれば。
でも企業が持つちからであり、価値であることは間違いありません。
これから先の可能性を見出した部分が、のれん代として金額に置きかえられています。
なんとなく純資産以上の金額で買収されるケースがあっても、おかしくなさそうだとわかったのではないでしょうか?
ここで気になってくるのが「純資産以下で買収されるケース」もあるのかです。
あります!
このケースは「負ののれん」といわれます。
のれんについて調べていると、こっちのケースのほうが不思議に思えてきます。
買った瞬間にもうかるってことですもんね。
資産価値以下だとしても、会社を売りに出す理由があるということです。
既存の従業員を守るためだったり、問題をかかえて立ち行かなくなっていたり、叩き売る事情はさまざま。
のれんには期待する価値が含まれている
買収される会社のブランドとしての信用や将来性は、付加価値として評価され、純資産にプラスされた分が「のれん」になります。
のれんにはこれから先の「期待値」が含まれています。
わざわざ高く買うのですから期待して当然。
期待どおりに結果を出してくれれば、のれん代を取り返せる、のれん代以上の利益を生んでくれるかもしれません。
でも、あくまでも「期待値」なんですよね。
期待値はよくもわるくも測定不能。ぶれる可能性があります。
大きく利益を生みだすドル箱になってくれるかもしれないし、役立たずの高い買い物になってしまうかもしれません。
会社同士のシナジー効果を期待できる一方で、買収をした会社にとって、のれん代はリスクでもあります。
個人の投資も似てます。
上がると思って期待して投資をしてみたら、期待どおりに上がることもあれば、期待に反して下がることもあります。
株を買うときには企業が、リスクにもなりうるのれん代をどれだけかかえているかは気にしておきたいです。
リスクがあることを把握し考えて投資するのは個人であっても、企業であっても同じですね。
投資をするときにはPERやPBRも確認しておきたい情報です。
PERとPBR、ミックス係数についても記事にしているので、よかったら目を通してみてください。
のれん代を考えるきっかけはJTへの投資
のれん代を気にしはじめたきっかけは、私が「ネオモバ」でJTに投資をしているからです。
配当重視の投資をはじめて、最初にネオモバで買ったのはJTの株でした。
JTは多額ののれん代を抱えた会社です。
2019年度の決算レポートをみてみると、のれんは2兆円と大きな金額になっています。
JTは海外の会社を買収しながら、日本以外にも市場をひろげて売上を伸ばしています。
風当たりの強い事業を主力としていますし、多くの市場を持っていたほうがいいですよね。
市場の急速な拡大が、リスクにもなりうるのれん代以上のメリットになると、JTは判断しているはずです。
配当重視の投資を考えると、高配当のJTは投資先にあがってくると思います。
私がそうです。
限られた投資資金でどうしたら高利率が期待できるのか考えました。
JTに目をつけて、当時の私なりにリスクを一生懸命確認したつもりです。
JTについては高い配当利回りの裏側で、社会的に厳しい目を向けられる事業と大きなのれん代があることは頭にいれておきたいですね。
まとめ:のれんは期待とリスクのあらわれ
この記事は決算書にのっている「のれん」についてでした。
- 「のれん」は会社が他会社を「買収した額」と「買収された会社の純資産」の差額
- のれん代には期待とリスクが含まれる
- JTへの投資がのれんを気にするきっかけ
買収される会社の純資産にたいして、実際に買収された金額との差が「のれん」です。
資産額以上の金額で買収となることは、ちっとも珍しくありません。
そこにはブランド価値や将来性などの期待がプラスアルファされています。
高く買う以上、買収する会社にはリスクもありますけどね。
私がのれん代を気にするようになったのは、JTにネオモバで投資をしはじめたのがきっかけです。
JTののれん代は大きく、それだけリスクも抱えているものと考えています。
私は自分なりにリスクも考えたうえでJTの株を買いました。
株を買うときにはいいところばっかりを期待せず、どんなリスクを持っているのかも見ておくようにしたいですね。
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